この出会いが奇跡なら-上-




ガサ、ガサ、ガサ、と音がだんだんこっちへ近づいてくる。



その時、ホテルのオーナーさんが言ってた言葉をふと思い出してしまった。




『昔からここの森に恨みを持った女の人が住みついていて、弱っていたり、一人でいたりすると、お構いなく自分がやられたカマで襲いにかかってくる』と。




いや。もう、やめて。怖い。




自然と出てきた涙をグッとこらえて、そのまま顔を膝に押し付ける。



怖いよ。………成斗、助けて。







「―――桜!」




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