この出会いが奇跡なら-上-






不意に呼ばれた声に、あたしはそっと顔をあげる。





「……やっと見つけた」


「…、成斗…?」




どうして?

それに、少し成斗の息が荒い。

もしかして、あたしを探しに来てくれたの?





「いなくなったって先公が言ってたから」


「…………」



嘘。あたしのために?

そんなの、嘘みたいだ。






「…うっぅぅ、成斗」



「泣くなよ。どっか痛めたのかよ」


「……うっ」



それもそうだけど、今はちょっと違うよ。





< 138 / 203 >

この作品をシェア

pagetop