この出会いが奇跡なら-上-



「…成斗」

「泣くなよ」


不意にそう言われ、成斗がグイッとあたしの涙を拭ってくれた。




「ぅっぅぅっ成斗ー…」


目の前の成斗の存在を確信するかのように、何度も何度も成斗の名前を呼んだ。



「俺の名前連呼すんな」


不意にそう言われたけど、嬉しくて堪らないから、その後も成斗の名前を呼んでやった。


泣くなって言われても、涙止まんないよ。




「成斗、あたし、…あたし、…もう駄目かと思った。すごく、怖くて…」

「分かってる。だから助けに来た」

「…ぅっ」


成斗の口から、すらりとそんな言葉が返ってくる。



………馬鹿じゃないの。


そんな事言われたら、あたしもっと、もっと、好きになっちゃうよ、成斗の事。






「…やっぱ怪我してんじゃん、お前」


「え、あ…さっきそこで転んだの」


「ドジ」




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