この出会いが奇跡なら-上-


「おかえし、してくれるんでしょ?」


ニヤリとした顔でそう言われたあたしは、その不気味な笑顔に物凄く怖くなって、「触んないで!」って。掴まれた腕を思い切り振り解いた。


だけどそれが逆効果になり、ずいっと相手に迫られる。


案の定、最悪なことにあたしの後ろは壁。


そのまま手がバンっと顔の横に当たる。


「おかえし、どんなのが良いかなあ…」


そう耳元で言われ、嫌でも体がゾクっとする。




やばい。

あたし、今絶対…泣きそうな顔してる。


そんな事、今はどうでも良くて、

2年前に感じた恐怖と同じものを感じた。


どんどん相手の顔が近くなり、怖くて、ドンっとその人の身体を押した。


だけど、女のあたしじゃビクともしない。


そんなあたしの両手が、頭の上で拘束される。



そしてそのままその人の片手が、服の中にするりと入り込んだ。


「―――イヤ!」


涙が出て、もう駄目だと思った。



――――その時。



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