この出会いが奇跡なら-上-
…………。
彼と、一瞬目が合った。
目が合ったけど、プイっとすぐに目を交わされてしまった。
…………嘘。
――――嘘でしょ…?
金髪。
乱れた服装。
高すぎる身長と、
たくさんのシルバーピアス。
そして、何より見覚えがある、整った顔。
「あ、あの…」
あたしは目の前の彼に恐る恐る声を掛けた。
「何」
するとすぐに低い声でそれだけ返ってくる。
「…あの、名前、聞かせてもらってもいいですか?」
「…は?」
目の前の彼の眉がピクっと動き、そのまま低い声でそれだけ素っ気なく返された。