この出会いが奇跡なら-上-




…そんな事思ったって、一番重要なのは…そこじゃない。


あたしが一目惚れした彼が、

今、目の前にいるってことと、

目の前の彼が、あたしを覚えてないって、サラリとそれを口にしたこと。



……覚えてない…か。


まあ、そりゃそうだよね。

2年も経ってたら、そりゃ普通忘れるよね。



あたしは好きだから覚えていたわけで、別に何も感じたり思ったりしなかったら、普通記憶からはぶれるよね。


ああ、でもちょっとショックだな。



「お前、今俺に会ったって言ったよな?」



「え…?うん、会ったよ?」


あたしがそれに頷いて、それだけ金髪イケメンに言葉を返すと、



「……何だよ、その思い込み。気持ち悪いにも程があんだろ」


……ムカ。


……はあ!?何だそれ…!!



「会ったことあるんだもん!あんたと!」



無意識に出たあたしの言葉に彼は、


「ふーん、それで俺に惚れちゃったわけ?」


ニヤリと口角持ち上げて、小さな声で、あたしにそう言った。


な、何。鋭いぞ………こいつ。



「…そんなのあるわけないじゃない!」


「あっそ、つまんね」



つまんないって言いやがった。


この顔だけイケメン。






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