この出会いが奇跡なら-上-
本当に一瞬の、夢のような出来事だった。
目の前に現れたのはまた一瞬で。
彼は2年前と同じ、
“またな”って言葉を残して、あたしの前から去って行く。
“また会える”と、そう思わせてくれる彼の一言。
現に2年前言われて、今日会えた。
やっと会えたのに、別れちゃダメじゃない。
引き止めないといけなかったのに。
連絡先くらい…聞かないといけなかったのに。
何してんの、あたし。
また、どこかで会える?
また…、あたしが危ない目にあったら、あたしの目の前に、颯爽と現れてくれる?
少しの期待を胸に、単純にそう思ってしまった。
それでも会えたのはすごく嬉しくて、
心臓の高鳴る鼓動だけがうるさく、あたしの中でドクンドクンと響いていた。
会えるよね。
今日だって会えたんだし、
またこれで再会できたら、
今度は奇跡じゃなくて、運命だって、そう信じても良いよね。
そんな事を思っていたあたしが、彼とまた再会出来たのは、この日から丁度3日が過ぎた時の事だった。