この出会いが奇跡なら-上-
そのあと、ゲーセンでみんなで遊ぶことになって、騒いでる面々を交互に見つめていると、ふとある事に一つ気が付いた。
さっきから愛子と皐月君が、何だかものすごく良い雰囲気。
「あいつ等さー、両想いなんじゃね?」
あたしの隣で光輝君がそう言った。
………両想い?
確かに、気がないとは言えない二人の表情。
それに二人共、ほんのりと頬を染めている。
『気になってる人はいるんだけどね』
前言ってたその愛子の言葉をふと思い出した。
もしかしてもしかしてもしかして。
愛子の好きな人ってまさかの皐月君?
『桜に言ったら怒られるし』
……やっぱり。
あたしに諦めな諦めなって言ってた愛子が、まさかのあたしと同じ場で出会った皐月君に恋をしてたなんて。
これならあたしが怒るって思うのも無理ないか。
あたし、別に怒らないんだけどなあ。
というか、そう言うの逆に羨ましかったりする。
だってもし両想いなら、2年前からお互いの事、想ってたって事でしょ?
うわー…そうだとしたらすごいロマンチック。
ん?…これロマンチックなのか?
そう思っていると、二人の姿を見た成斗が「二人にしてあげようぜ」と小さくそう言った。
面白半分でそう言ったのか、二人の事を思って言ってあげたのか、あたしにはサッパリ分からなかったけど。