この出会いが奇跡なら-上-
「そんな脅えたって、誰も助けになんて来ないよ」
目の前で言ったその人の言葉がすごく怖く聞こえて、流しちゃいけない涙が頬を静かに伝った。
それと同時にぎゅっと目を閉じる。
震えている体と、溢れ出す涙……
色々考えて、逃げるしかないと考えるけど、今親友とアイコンタクトをとれる状況でもない。
あたしたちに残された術(すべ)はただ一つ。
誰でも良いから助けて……。
もう本当に、それしかなかった。
「ねえ君、俯いてないで、こ……」
――――ドス、
不意に、痛々しい鈍い音が、地面に響く。