この出会いが奇跡なら-上-
あんな奴でも風邪を引く
それから1か月が経った頃。
あたしと成斗の関係は、当たり前で何も変わらないまま。
そんな中、嬉しいニュースがあたしの耳に入った。
あの隠れ両想い?だった、愛子と皐月が付き合うことになったっていう、嬉しすぎるニュース。
もう自分のことの様に嬉しくて、愛子の手をぶんぶんと上下に振って、良かったね、良かったね、と愛子に言い続けた。
やっぱり、愛子は皐月の事が好きだったんだ。
そして、皐月も。
少し照れた様子の二人に成斗はおかまいなしに「どこまでいったの?」って直球の言葉を投げつける。
そんな成斗の頭を、あたしはバコンっとグーで殴ってやった。
「…何すんだよ」
「うるさい!幸せな時間を邪魔しないでよ!」
「お前にとっての幸せな時間じゃねぇだろ」
「……そ、そりゃ、そうだけど」
…………。
……幸せな時間か。
いいなあ、愛子は。好きな人と付き合えて。
あたしなんて、いつも言い合いばっかだもんね。
自分で言っておいて、ほんと情けないよ。
…あたし、もっと頑張らなくちゃ。
愛子を見習おう!と前向きにそう思った。