この出会いが奇跡なら-上-
「てめ…ッ何しやがる…」
「うるせぇよ」
いきなり低い声が頭上で小さく聞こえると、4人の男性がそそくさと颯爽と逃げて行くのが、どんどん遠のいて行く足音で分かった。
何事かと思い、恐る恐る顔を上げると、
そこには見知らぬ同年代くらいの男の子が4人、
あたし達の目の前に立っていた。
しかも物凄く目立つ髪に、乱れた服装、それに、これ程かとも言ってやりたいくらいのピアスの数。
間違いない、とあたしは心の中で確信した。
この人達、絶対、素行の悪い不良だ。
……それ以外、有り得ない。
その確信に、少しの恐怖を感じながらも、目の前にいる不良にそっと声を掛けられた言葉は、予想外で、意外な、優しい一言だった。
「大丈夫か?」
真ん中にいる金髪のイケメンが不意にそう言って、一瞬、親友とあたしで顔を見合わせた。
「大丈夫かって、聞いてんだよ」
すると、金髪イケメンは低く小さい声でそう言い、あたし達の目の前にゆっくりとしゃがみ込む。
そんな彼の行動に、どくん…と静かに心臓が波打ったのが何となく分かった。