この出会いが奇跡なら-上-
「…ん」
物凄く嫌なタイミングで、成斗の目が覚める。
「…お前、俺を襲う気かよ」
完全に目を覚ました成斗が、ニヤリとした憎たらしい表情で、あたしにそう言った。
そんなんじゃないのに、カァっと体温が熱くなって、わざと「違ーう!!」と大きい声でそう叫んでやった。
「てめえ…わざと叫びやがったな」
「…ばれちゃった?」
「…マジで襲うぞ」
「はあっ!?」
意味分かんないし。何でそっちに行くかな。
「それより大丈夫?成斗さっき気失ったんだよ?」
「ああ、大丈夫」
「そう、ならいいんだけど。あ、食欲ないと思うけど、夜ご飯出来たから食べる?」
「…うん…食う」
「………」
何か、無駄に可愛いんだけど。
「手、止まってんぞ。さっさとよそれよ」
単純にムカつく。
やっぱり全然可愛くない!
せっかく作ってあげたんだから、感謝の一つくらい言いなさいよね。
「はい」
よそってあげた皿を成斗に渡し、一口食べた成斗の顔をじーっと見つめた。
「あんま見られると食いづれぇんだけど」