この出会いが奇跡なら-上-
「この写真、俺が唯一持ってる大事な写真なんだ」
「俺が写ってるのなんて、これだけ」
光輝がそう言って、かすかに切なく笑う。
その笑いが寂しそうに見えて、チクンとあたしの胸が痛んだ。
「だからって無茶しちゃダメだよ。皆心配するし、そんな写真より、光輝には目の前に成斗達がいるんだしさ」
あたしがそう言うと、光輝は写真を見ながら小さく口を開いた。
「俺にとっちゃ、そんな写真って言うレベルじゃないんだよ、これは」
「ごめん、そうだよね。ごめんね」
「あ、謝るなよ!馬鹿みてぇ」
「ば…っ何よ!」
光輝は、はははっと笑って、その場に勢いよく立ち上がった。
「あ、そうだ、その顔じゃ目立つでしょ?あたしの家おいでよ。手当て、してあげるから」
「はあ?別に良いし。お前不器用そうだもん」
「あ、あたし器用なんだから!」
本当に?とでも言いたそうな、疑い深い目でじとっと光輝に見られた。