この出会いが奇跡なら-上-




「今お茶と救急箱持ってくるから!」

「さんきゅー」


その数分後、お茶と救急箱を用意し、光輝の元へと急いだ。



「ほら、傷口見せて」

「ん」


血が痛々しい程、滲み出てる。


「ちょっと染みるよ?」


ちょん、と消毒液で濡らしたコットンを傷口にそっと当てる。




「いってえーーっ!お前下手くそなんだよ!」


「はあ!?あたし器用なんだから!」

「冗談は顔だけにしろよ」

「な、なんだと!」


それに自棄にムカついて、顔の傷口に思いっきし、コットンをグッと押しつけてやった。



その後の光輝の叫び声と来たら、とんでもないったらありゃしない。




「優しくして。お願いだから」


可愛い声と顔でそう言われて、ちょっと可哀そうだなと思ったあたしは、言うとおりに優しく手当てをしてあげた。

< 57 / 203 >

この作品をシェア

pagetop