この出会いが奇跡なら-上-
すごく、近い。
近過ぎる。
「うん、大丈夫。……ありがとう」
「いや、別に。…ただ女が襲われそうになってんのはほっとけねえし、あいつ等は前から気に入らなかったから」
「そ、そうなんだ」
前からって…あの人達と知り合いなのかな。
「ほら」
そんな事を思っていると、不意にスッと、大きな手があたしの目の前に優しく差し出された。
「………」
あたしは少し眉間に皺を寄せたけど、それでもためらいもなく、その手をそっと取る。
―――どうして、こんなに熱いんだろう。
そのまま横にそっと目を向けると、あたしの隣に居た親友も、金髪の仲間に立てなくなった足を「ホラ」と言って、立たせてもらっていた。
「今度からは、気をつけろよ」
金髪のイケメンはそう言って立ち上がり、ゆっくりとあたし達に背を向ける。
このまま去って行こうとする4人に、あたしはちょっとだけ、寂しくなった。
不意に寂しくなったから、あたしは「待って!」と、大きめな声を出して、去っていく目の前の不良を呼びとめた。