この出会いが奇跡なら-上-
突然の退学危機
それから二週間が経った頃。
何故か成斗が校内放送で学年主任の先生に呼び出された。
成斗は小さく舌打ちをしてそのまま教室を出て行ってしまった。
ちょうど昼休みだった事をいいことに、あたしは隣のクラスにいる光輝と悠紀の元へ向かった。
「桜、どうした?」
「珍しいな、来るなんて」
「ちょっと!さっきの放送聞いてないの?」
光輝が「成斗のことだろ?」と逆にそう聞いてくる。
「そう。気にならないの?」
「気になるけど、どうしようもねぇじゃん」
「どうせすぐ抜け出して来るだろ」
そう言って、心配いらないとでも言うような顔をする二人。
だけど今回の事は、そう簡単に抜け出せない事だったんだ。