この出会いが奇跡なら-上-
「何だよ」
あたしが呼びかけると、予想外にもクルリとこっちに振り向いてくれて、低い声でそれだけ返してくれた。
それが何だか凄く嬉しくて。
「あの…名前だけでも教えてくれませんか!?」
あたしは精一杯の勇気を出して、目の前の不良達に、大声出して、そう聞いてみた。
そんなあたしの声が路地裏に連呼して響き渡った中、
いつも真ん中をキープしてそうな金髪のイケメンが、
「春 成斗(ハル セイト)」
低い声で、それだけ返してくれた。
あたしのいきなりな行動にも関わらず、それでも言葉を返してくれたのが嬉しくて、嫌でも持ち上がる口角を必死におさえていると、
「俺は、木塚 光輝(キヅカ コウキ)!」
可愛らしい笑顔で、茶色に髪を染めた背の小さい女の子みたいな顔をした彼が続けてそう言ってくれた。
するとまた横から、親友の手を取ってくれた、不良では珍しい黒髪の彼が、
「……波矢 皐月(ナミヤ サツキ)」
金髪よりも低い声を出して、あたし達にそう言ってくれた。
そんな3人を見ていた、身長高すぎるだろ。とでも言いたくなるようなオレンジ色の髪をした彼が、
「俺は佐藤 悠紀(サトウ ユウキ)だよ」
眩しすぎる、天使のような優しい笑顔で、そう言ってくれた。
目の前の不良軍団が全て名前を言い終わると、今度は金髪イケメンが、「お前等は?」って、あたし達に聞き返してきた。