この出会いが奇跡なら-上-
「次、あいつ」
光輝の奴、目がもう鬼だ。
「おい」
「え?うわ!…木塚と、佐藤…」
おいおい、あたしもいるんですけど。
「ちょっと聞きたい事あるんだけど、いいかなあ?」
光輝の可愛らしい表の笑顔に、声を掛けられた男の子も一瞬、ホッと安心したような表情を浮かべる。
でもあたし的に、この笑顔には、絶対裏がある。
「あんさー、……春成斗が万引きしたとこ見たって言ってる奴、知らね?」
ほら。やっぱり。一瞬にして、悪魔の顔に早変わりだ。
「…え、えっと」
………?この人、まさか何か知ってるの?
「さっさと質問に答えろよ」
……おいおい。警察の取り調べじゃないんだから。