この出会いが奇跡なら-上-
あたしって結構嫌な女かも。
こんなの、山下君をはめてるのと同じだ。
でも、成斗が万引きなんて絶対あり得ないと、強く主張してる自分が心の中にいるんだ。
「…ここ、だよ」
「ここで、何を話すの?」
「………」
あたしに気付いた二人が、隠れてた場所から出て来る。
「お前か?…成斗が万引きしたとこ見たって奴は」
一瞬、はっとなった山下君からは、ものすごい焦りが感じられる。
「…嘘、なんだろ?万引きしてるとこ見たなんて」
光輝がすごく怖い目をして、山下君を睨みながらそう言った。
山下君は、そのまま俯いて黙り込んでしまう。
「何か言えよ」