この出会いが奇跡なら-上-
光輝が山下君に向かって低い声でそう言って、そのまま山下君をじっと見つめる。
「お前、進路もう決まってるんだろ?」
「…え」
「じゃねぇと普通、そんな脅しに乗らねえだろ」
一瞬、唇を噛みしめた山下君が「…決まってる」と小さい声で、そう言った。
「やっぱな。あのさ、俺にいい考えがあるんだけど」
ニヤリと、口元を持ち上げて不気味に笑う光輝。
「あ、校長か?」
悠紀が思い出したように光輝にそう聞いた。
「そう」
は?何か良く理解出来ないんですけど。
「あの、何で?そんなさ、先生がしくんでましたなんて…、校長でもそんなの信じないと思うけど」
「あ、そうか。お前知らないのか」
「え?」
そう言われた悠紀に、状況がますます分からなくなるあたし。
「…光輝のお父さん、ここの校長なんだよ」
…はっ!?ええぇ!?嘘でしょう!?
「………」
ああでも。そう言われて見ると、少し似てる気がしないでもない。