この出会いが奇跡なら-上-
「何とか、してくれんだろ」
「ふ」と不敵な笑みを浮かべた光輝がそう言った。
何て、すごい不良なんだ。
光輝のお父さんは校長で、成斗も見る限り、絶対お金持ちの家の子。
もしかして、悠紀と皐月にも何か秘密があるのかな。
「成斗の事も…お前、えっと山下のことも、あとそれから坂井の事も、親父が上手くしてくれるだろ」
そう言った光輝に山下君は満面の笑顔を向けて、「ありがとう」とそう返した。
その後早速、校長室へと向かうあたしたち。
校長って結構怖いイメージあるんだけど、どうなんだろう。
光輝の前だけ、性格変わったりして。
「親父、失礼するぜ」
「ノックしろといつも言って…って、何だ、お前か。何か用かい?」
うわ、何か違う…!
「あのさ、成斗の万引きの件なんだけど、ちょっと言いたい事あって」
「ん、何だい?」
「成斗、万引きなんてしてないよ。証拠だってこいつが持ってる」
「君は確か、トップクラスの…」
トップクラス!?
すごい。やっぱ山下君って、真面目なんだ。
「はい、山下智樹です。その件でお話したいことがあります。いいですか?」
「ああ、いいよ。話してくれ」