この出会いが奇跡なら-上-
「成斗君の万引きした所を見たって言うのは、……すみません。僕が嘘をついてました。…でも、信じてくれるか分からないですけど、僕、はめられたんです。学年主任の、坂井先生に」
「え、坂井にかい?」
「はい。言わないとお前の未来なんてない。と言われて、それが怖くて言われた通りに春君が万引きしたところを見たって、そう言ったんです」
「………そうか。私もね、最近の坂井におかしいと思っていたところだったんだよ。
成斗君の事になるとすぐムキになるし、あいつが指導室へ呼ぶのはいつも春ばかり。それって、おかしいと思わないかい?」
それを耳にして、あたしの口が、嫌でもスッと開く。
「…おかしいと思います。あて付けなのか、何かをやられた仕返しなのかはあたしにもわかりませんが、こんな事するなんて、教師として、人間として、最低だと思います」
「ふっ」
「……あっ」
ああ…っ、馬鹿…!あたし!どさくさに紛れて何言ってんの!
「君みたいにズバズバ言う子、久し振りに見たよ」
クスクスと笑う校長にそう言われ、あたしの顔は一気にカアっと熱くなる。
「光輝、お前の彼女かい?」