この出会いが奇跡なら-上-
………えっ!?
「ち、ちち違いますっ」
「はっ!?ちげーよ!」
同じタイミングで二人して否定の言葉が飛び出る。
「ああ、残念。こんな良い子が嫁に来てくれたら、光輝もさぞかし幸せだろうに」
よ、嫁だと!?
何を言い出すんだ。この校長である光輝の父親は。
「い、いい加減にしろよ!俺等は別にそんなんじゃ」
チラリと光輝を見ると、何故か顔が真っ赤だった。
それに悠紀がそんな光輝を見て、笑いを必死に堪えてる。
「ん、まあ、私に任せない。山下君の事も、成斗君の事も、坂井の事も私が何とかしてあげるから」
「さんきゅー。父ちゃん」
これで、一件落着…なのかな…?
その後、あたし達は「失礼しましたー」と声を揃えて、校長室を後にした。
「山下君、良かったね」
「うん、ありがとう。成宮さん」
「おーい待て。助けてやったの俺のおかげ何だけど」
「君もありがとう、すごく助かったよ」
「それじゃあ僕は授業あるから行くね。またね、成宮さん」
「え?うん。またね」
そんな山下君を見ていた光輝が、「あいつ、何か気にくわねぇ」と、あたしの横でそう言った。