だから約束を...
出逢いはただのH.R.
あたしは羚奈。三神羚奈。
今日から櫻ヶ陵学園高等部1年生。
1ヶ月前は櫻学園中等部3年生だった。
櫻学園は一貫で、私は試験も何もなく
エレベーター式で入学出来た。
まぁ学年のみんながエレベーター式で
高等部に入学しているから
顔ぶれはほとんど変わっていない。
けど1クラスに5人ぐらいは
受験で入学してきたみたい。
そしてこの学園は広い。
近所の大学よりも遥かに広い。
だから生徒数もハンパじゃないから
1学年で12クラス前後あるの。
私は1年C組。さっき確認したけど
教室では一番後ろで一番右。
つまり一番端っこってこと。

「席に着け!!」

東先生が叫ぶ。いらないことに先生も
エレベーター式で高校までついて来た。

「かったりぃ~」

先生に聞こえないように小声で喋っている。
何となく感じた。普通じゃないって。
あたしの左隣はちょっとチャラい
茶髪の男子だった。
瞳で人を殺す。(ん?ちょっと違うかな?)
そんなタイプの人。

「お前隣?よろしく。俺は叶弥。
 叶えるに卑弥呼の弥。」

ニコッと笑いながらあたしを指差す。
先生に見つからないようにこそっと。
結構かっこいいかも…

「叶弥?」

なんだかあたしも小声になってしまう。
(だって入園早々怒られたくないっ!)

「そっ。で、お前は?」

「羚奈。え~っと…」

あたしは口で説明出来なくなったから
筆箱からメモ用紙を取り出してなるべく
丁寧に書いた書いた。
何で丁寧にかって?字が綺麗な子に
見られたいからに決まってるじゃん。

“羚奈 れいな だよ”

叶弥に渡す。そしたら叶弥があたしから
メモ用紙をがっと奪う。

“珍しい名前だな。”

凄く綺麗な字でそう書いてあった。

“叶弥も十分珍しいと思うよ?”

先生の目を盗んで叶弥にメモを渡す…
けどそんな上手くいく訳もなく
あっけなく先生に見つかった。
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