私、嘘彼女。

「紙が詰まってただけだ!直ったぞ」

久しぶりに聞く声

たった二ヶ月喋ってなかっただけなのに
どうしてなのかな

「どうした?ぼーっとして…」

「え、いや………」

「顔にインクついてる」

「えっ」

その瞬間光輝の手があたしの頬に触れた

「菜津芽………」

「駄目だ……」

言い終わらないうちに

光輝の唇と
あたしの唇が
重なってしまった



「悪ぃ…………。…じゃあな………」



ばか



別れたのに



いやもう嘘彼女でもないのに




キスなんかしないでよ



ばか



光輝のばか…………


















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