私、嘘彼女。

「紙が詰まってただけだ!直ったぞ」

なんで俺
こんなに明るく
振る舞おうとしてんだ?
自分自身がわからなくなる


でも菜津芽の目は
いつもと違う



そうだよな

俺みたいなやつに
話し掛けられても
困るだけだよな



ふと気が付くと
インクがついた菜津芽の頬に
手を伸ばしていた



ふと気が付くと
首が勝手に動いて
菜津芽の唇を求めていた


やっと手に入れた花音がいたのに
どうして俺は菜津芽のことを考えているんだ?


「駄目だ…」

なんで抵抗しねーんだよ…


菜津芽のこと
忘れらんねーじゃん………













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