*エトセトラ*
時々いる。ああいう女。

俺のことならまだしも、モカを見さげるような言い方をする奴。

その時はもちろん我慢できるはずもないし、容赦しない。勇気を出して告白したとか、そんなことを考慮するはずもない。

きっと彼女の仲間内では、気持ちを踏みにじった最低な男として、完全に悪者にされるだろう。

まぁ、別にどう思われても構わないが。



あー…それにしても胸クソわりぃ…

ムカムカしながら、モカが待っている教室まで向かった。


今日は一緒に帰る約束をしている。珍しくモカの方から一緒に帰ろうと誘われた。



教室の扉を開けると、教室で1人待っていたモカがこちらに振り返った。


「あ、和泉君!講義終わった?」

俺を視界に捉えた瞬間、パァッと笑顔になりこちらに駆け寄ってくる。



……………。


……………かわいい。


これだけで、さっきまで不快だった心がみるみる浄化されていく。

俺って本当に分かりやすい。


「待った?」

「ううん、私も今来たばかりなの」


その笑顔にたまらず手を伸ばしギュッと抱き締めると、一瞬にして先ほどのことなんて忘れ去った。

告白をしてきた子の顔すら覚えていない。


「和泉君っ!?ど、どうしたのっ!?」

「どうもしないけど」

腕の中で慌てているモカに笑って答えた。

恥ずかしがりながらも、受け入れてくれている。今日は逃げない。


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