*エトセトラ*
早速包装を解いて箱を開けると、中には小振りなチョコレートが並んでいた。


「手作り?」

「うん、昨日の夜作ったの。モカチョコだよ」

「……モカチョコ?」


モカが作ったから?なんて考えながら、そのチョコレートを一つ摘んでパクッと口に運んだ。

少しだけ、ほろ苦くて芳ばしい。

うん、うまい。


「和泉君、甘いもの苦手でしょ?だから、あんまり甘くならないようにコーヒー風味にしてみたの。だから、モカチョコ」

うまいでしょ?と得意げに笑うモカに、心臓がやばいくらい高鳴る。



………なんで、こんなに可愛いんだろう。


じーっと見つめる俺の熱い視線にも、モカは気付かない。


「どう?おいし?結構自信作なんだよ」

そう言って、ニコニコと俺の顔を覗き込むモカに、だんだんと理性が崩れていくのが分かる。


いや、マジで、可愛い……


もちろん、そんなモカに俺が我慢できるはずもなく、目の前で無防備に振舞う彼女に手を伸ばした。



「なぁモカ。もうお返ししてもいい?」

「へ…?」

キョトンとするモカに、チュッとキスを落とした。


「なっ!突然何するのっ!?」

「何って、お返し」

「お返しって!ホワイトデーじゃないし、大体キスはお返しにならないし、」

焦ったように抵抗の言葉を並べるモカの口を塞ぐため、もう一度、今度は深く口付けた。


「んっ…!やぁ…」

モカから甘い吐息が零れるたび、俺の想いは加速する一方。

逃げないように抱き締め、優しく、時には貪るように、想いを込めてキスを続ける。


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