*エトセトラ*
なんて強引な奴等なんだ…

無理やり放り出されたことで、俺が素直に声をかけてくるとでも本気で思っているのだろうか。

あいつらが言う向かいの個室に目を向けると、確かに女子の笑い声が聞こえてくる。閉まっているので中は見えないが、数人いるのが声だけで分かった。


……このまま帰るか。

幸い、財布も携帯もポケットに入れっぱなしだ。帰ったところで何も問題ない。

あとでどんなに責められようが、この状況よりはマシだ。

悩む暇なく帰ろうと店の出入り口に向かって足を進めた。


さて、モカを迎えに行こう。

モカにどこの店にいるのか連絡をしようと携帯を取り出したところで、前の方からよく見知った女の子がこちらに向かって歩いてくるのが見えた。

ピタリと体が止まる。

よく見知ったも何も、先ほどまで話題に上っていた俺の「彼女」だ。


「…………モカ?」


向こうも俺の姿に気付き、驚きで目を見開いている。



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