*エトセトラ*
お祭りデート
夕方、取引先との商談を終え、部下と2人で帰社している車中。
「銀次さん、さすがっすねー。俺が1ヶ月以上てこずってたのに、銀次さん一瞬でまとめるんですもん」
「当たり前だろ。お前とはデキが違うんだよ」
今日の商談結果について話していると、運転している部下が突然「うわっ!」と声を上げた。
「どうした?」
「ビックリしたー…。いや、すみません、急に人が飛び出してきて…」
後席から外の様子を見ると、確かに信号もないところで人が横断している。何人も。それに、いつも以上に街は人で溢れ、車も少し混んでいるようだった。
「なんか今日、人が多くねえか?」
「あ、確か今日祭りがあるんですよ。この辺で1番大きな。花火もあがるらしいですよ」
「祭り?花火?」
言われてみれば、浴衣を着ている女の子も数人見える。
「まだそれほど混雑してませんけど、じきに混み始めますよ。この辺は車で通れなくなるくらい」
「鬱陶しい…。さっさと帰るぞ」
混雑する祭りなんか何がおもしろいんだか。
人の群れを見ながら冷めた視線を送っていると、部下が楽しげに呟いた。
「いいっすよねー、祭り。俺も行こうかな」
「ぅわ…信じらんね…」
「あれ?銀次さんは彼女と行かないんですか?」
「……彼女と?」
結衣と?祭りに?
俺も結衣も人ゴミが嫌いなため、祭りのような大きなイベントに行ったことがない。そもそも、デートすらあまりしていない。
部屋で2人一緒に過ごすだけで、俺が大満足だからだ。
「祭りねー…」
もしかして、結衣はこういうのに実は行きたいんだろうか。
どこかに行きたいとか、相変わらず何も言わねえしな…。
でも、結衣も人が多いところは嫌がるし…。
「銀次さん、さすがっすねー。俺が1ヶ月以上てこずってたのに、銀次さん一瞬でまとめるんですもん」
「当たり前だろ。お前とはデキが違うんだよ」
今日の商談結果について話していると、運転している部下が突然「うわっ!」と声を上げた。
「どうした?」
「ビックリしたー…。いや、すみません、急に人が飛び出してきて…」
後席から外の様子を見ると、確かに信号もないところで人が横断している。何人も。それに、いつも以上に街は人で溢れ、車も少し混んでいるようだった。
「なんか今日、人が多くねえか?」
「あ、確か今日祭りがあるんですよ。この辺で1番大きな。花火もあがるらしいですよ」
「祭り?花火?」
言われてみれば、浴衣を着ている女の子も数人見える。
「まだそれほど混雑してませんけど、じきに混み始めますよ。この辺は車で通れなくなるくらい」
「鬱陶しい…。さっさと帰るぞ」
混雑する祭りなんか何がおもしろいんだか。
人の群れを見ながら冷めた視線を送っていると、部下が楽しげに呟いた。
「いいっすよねー、祭り。俺も行こうかな」
「ぅわ…信じらんね…」
「あれ?銀次さんは彼女と行かないんですか?」
「……彼女と?」
結衣と?祭りに?
俺も結衣も人ゴミが嫌いなため、祭りのような大きなイベントに行ったことがない。そもそも、デートすらあまりしていない。
部屋で2人一緒に過ごすだけで、俺が大満足だからだ。
「祭りねー…」
もしかして、結衣はこういうのに実は行きたいんだろうか。
どこかに行きたいとか、相変わらず何も言わねえしな…。
でも、結衣も人が多いところは嫌がるし…。