*エトセトラ*
そして、しばらく待っていると、ようやくカチャッとドアが開き、松井さんが顔をのぞかせた。

「お待たせしました。可愛くなりましたよ」

松井さんのその言葉に、期待を膨らませながら部屋に足を踏み入れると、浴衣姿の結衣がこちらに振り返った。

「……どうですか?」

恥ずかしそうに、はにかみながら言う結衣の言葉にも返さず、上から下まで、じーっと眺めるように見つめていた。


浴衣は濃紺に牡丹柄のシンプルなものだが、結衣にとてもよく合い、清潔感と気品さがある。

髪の毛もそれに合わせて上品にまとめられ、浴衣からのぞく白い肌が際立っていた。


………グッジョブ、松井さん。


もう、祭りなんてどうでもいい。

このまま押し倒したい。


見惚れたまま言葉を発しない俺を、結衣が不思議がっている。


「…先生?」

その愛しい声にフラフラと吸い寄せられるように近づき、「結衣…」と腕をグッと掴んで引き寄せた。


「キャッ!!」

バランスを崩した結衣をしっかり抱きとめ、ギュウッと抱き締めた。


「ちょっと先生!!」

「こら!坊っちゃん!!」

その瞬間、2人から焦ったような声があがり、松井さんは俺を引き剥がそうとする。


「ガマンしろって方がムリだろ!!」

「坊っちゃん!!気持ちは分かりますが、そんなに強くしたら浴衣が着崩れます!!」

「もういい!!どうせすぐ脱がす!!」

もう祭りなんてやめだやめ!!こんな姿の結衣を外へ出せるはずがない!!


結衣の手を引き、自室へ連れ込もうとする俺に、

「先生!!」

「坊っちゃん!!」

すぐさま2人の怒声が響き渡った。


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