*エトセトラ*
眠りに入りながらも色々と考えていたら、シャワーを終えた先生が寝室に戻ってきた。


はあぁーと、お疲れ気味の深い息を吐きながらベッドに入り、私の体をグイッと引き寄せた。

ふわっ、と私と同じせっけんの香りと、私をとても安心させてくれる先生の心地よい香りに包まれる。



お腹の前に腕が回り、ピタリとくっつくように後ろからしっかり抱き締められ、だんだん頭が覚醒し始めた。


さらに、先生は抱き締めるだけにとどまらず、パジャマから覗く首筋にチュッと優しくキスを落としてくる。

もしかして、私が熟睡している時は、いつもこんな感じなんだろうか…。

気付かない私もどうかと思うけど…。




「先生、何してるんですか?」

「…起きてたのか」

「起きてたのか、じゃないですよ。何してるんですか?」


疲れて帰ってきた先生に「おかえり」とねぎらうどころか、またいつものように責めてしまう。

こんな時にまで…。

言ってしまったあとでしゅんとしてしまった私に、先生は全く気にした様子もなく、抱き締める力をギュッと強めた。


「ベッドで寝ている彼女に手を出して、何が悪い」

「悪いっていうか…。疲れてるんでしょ?早く寝てください」

「結衣とこうしてる方が疲れが取れる」

「そんなことあるわけないじゃないですか」

「分かってねえな。俺の活力源は結衣なんだよ」

そんなことを恥ずかしげもなく言い放つ先生に何も返せないでいると、私が拗ねてしまったと勘違いしたのか、先生はクスリと笑った。


「分かったよ、寝るから。な?」

そう言って、私の体を反転させ向き合うような形になった。


「おやすみ、結衣」

「……おやすみなさい」

ぼそぼそと返すと、先生は満足そうに微笑み、唇にチュッと軽く口付けた。


そして、私の頭を胸に押し付けるかのようにギュウッと抱き締め直しながら、やっと寝る体勢に入った。

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