*エトセトラ*
相変わらずな先生に翻弄されていると、電話の向こうで『銀次さーんっ!!』と先生を呼ぶ声が聞こえた。

おそらく、会社の人。

『チッ…』と先生は舌打ちしながら、『ジャマすんじゃねえっ!!』とその相手に対して怒鳴っている。


「あの、先生…?呼ばれてるんでしょ?早く行かなきゃ…」

『はぁぁ…仕方ねえ…。……まぁ、声が聞けただけ良かった』

「はい…。頑張ってくださいね」

『ああ、じゃあな』

そう言って電話を切ろうとしたところで、そういえば!と思い出した。明日は先生の誕生日だ。仕事で帰りが遅くても、どうしても会わなければ。


「待って先生!明日も仕事、遅くなりそうですか?」

『明日?あー…、明日は出張だからな…』

「え…?」

『泊まりで京都。明日も会えねえな…』

「……そ、そうですか…。分かりました…」


そっか…、先生いないんだ…。

なんだ……。


先生の誕生日だからと張り切っていたけど、先生がいないんじゃ、意味がない…。盛り上がっていたのは私だけだったのかな…。

お祝い、してあげたかったのにな…。でも、私の勝手な企画なので、ワガママは絶対に言えない。先生は仕事なんだから。



はぁ…。


しょぼん、と落ち込みながら電話を切った。

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