*エトセトラ*
熱に浮かされて
「38度。立派な風邪引きさんね」
「うぅ…」
「今日は安静にして、ゆっくり寝てなさいね?」
「はぁい…」
コホンと咳をしながら、体温計を片付けるお母さんをぼうっと眺めた。
頭が痛い。体も重い。熱もある。
今日は先生とデートの約束をしていたけど、こんな調子じゃ行けるはずもない。
連絡しなくちゃ…怒られるかな……
重い体をのそのそと動かし、携帯を取ろうとベッドから起き上がったところで、お母さんが振り返って言った。
「じゃあ、お母さんもう仕事行くから」
「今日、仕事なの…?」
「うん、付いててあげたいけど、今日は夜勤なのよ」
「そう…」
じゃあ、今日は一人ぼっちか…。
こういう時に一人でいるのは寂しくて心細いけど、仕事だからワガママは言えない。
「行ってらっしゃい…」
ポツリ、と寂しそうに声をかけると、「あ、そうそう」とお母さんがニコリと笑った。
「銀次さん、呼んでおいたから」
「……え?」
「さっき連絡したの。結衣が風邪だから、看病してやってって」
「えっ!?何でっ!?」
「何でって、心配だし一人にしておけないじゃない。銀次さんが来てくれたら、お母さんも安心だし」
「ちょっと待っ…」
「仕事が終わったら来てくれるんじゃない?よかったわね、結衣も安心でしょ」
安心というより…。
ヒクッと頬を引きつらせてる私に気付かず、お母さんは心底安心した様子で、「行ってきます」と仕事へ向かった。
お母さんは分かっていない…。
先生が来ると、治る風邪もなかなか治らないってことを。
「うぅ…」
「今日は安静にして、ゆっくり寝てなさいね?」
「はぁい…」
コホンと咳をしながら、体温計を片付けるお母さんをぼうっと眺めた。
頭が痛い。体も重い。熱もある。
今日は先生とデートの約束をしていたけど、こんな調子じゃ行けるはずもない。
連絡しなくちゃ…怒られるかな……
重い体をのそのそと動かし、携帯を取ろうとベッドから起き上がったところで、お母さんが振り返って言った。
「じゃあ、お母さんもう仕事行くから」
「今日、仕事なの…?」
「うん、付いててあげたいけど、今日は夜勤なのよ」
「そう…」
じゃあ、今日は一人ぼっちか…。
こういう時に一人でいるのは寂しくて心細いけど、仕事だからワガママは言えない。
「行ってらっしゃい…」
ポツリ、と寂しそうに声をかけると、「あ、そうそう」とお母さんがニコリと笑った。
「銀次さん、呼んでおいたから」
「……え?」
「さっき連絡したの。結衣が風邪だから、看病してやってって」
「えっ!?何でっ!?」
「何でって、心配だし一人にしておけないじゃない。銀次さんが来てくれたら、お母さんも安心だし」
「ちょっと待っ…」
「仕事が終わったら来てくれるんじゃない?よかったわね、結衣も安心でしょ」
安心というより…。
ヒクッと頬を引きつらせてる私に気付かず、お母さんは心底安心した様子で、「行ってきます」と仕事へ向かった。
お母さんは分かっていない…。
先生が来ると、治る風邪もなかなか治らないってことを。