*エトセトラ*
「まさか黒崎が行くって言うとは思わなかったな!」

慎が意外そうに、でもどこか楽しげに言ってくる。


「しょうがねえだろ。モカが行きたいって言うし」

「ハハッ、相変わらずモカちゃんには甘いねー」

「るせえよ」

事実なので、否定することはできない。ジロッと視線を送ると、慎が今度はほくそ笑みながら耳打ちするように話し掛けてきた。

「やっぱ、海っつったら水着だよなー!モカちゃんの水着姿、楽しみだろ?」

「お前な…」

木下がいるというのに、お前が言うな。

先ほどよりキツめに睨むが、慎には全然効いていない。変わらずニヤついている。


「可愛い彼女、思う存分見せびらかしたいだろ?普段、学校じゃできないから」

そんな慎の言葉に、思わずチラッと木下とはしゃぐモカを見た。

確かに、大学でのモカは周囲の目を気にして、俺とあまり接触したがらない。俺としては、モカは俺のだと周りに見せつけたいが…。


「な?そうだろ?」

「……確かに」

「だろー!」

テンション高く言う慎に賛同した。さすがに、海という場所では俺がずっと側にいてもモカは恥ずかしがらないだろう。それに、そうすれば悪い虫もつかないはずだ。

渋々行くことになった海だが、一つ、楽しみが増えた。
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