*エトセトラ*
更衣室の出入り口で、どよーんと沈んでいる私をよそに、女の子たちのお誘いはまだまだ続く。

「ねぇ私たちと一緒に泳ご?」

可愛くてスタイル抜群の美女たちが、和泉君の前で惜しげもなくそのプロポーションを披露している。

あんな子たちに誘われて、和泉君の心は揺らがないのだろうか…。


思わず、自分の身体を見下ろした。

ま、ますます和泉君の前に出ていけない…。

プニプニするお腹や二の腕をつまみながら思った。せめて、もう少し引き締めてくれば良かった…。

さらに卑屈になってしまいそうだ。


立っていた出入り口から、ダッと急いで更衣室に戻り、水着の上から大きめのTシャツを着た。

気になる二の腕やお腹を隠すために。


よかった…。念のためにTシャツ持ってきてて…。

少しだけ救われた気分になる。

よし。あとは、女の子たちがいなくなるのを待つのみだ。


再び出入り口まで戻り、外の様子を見た。

しかし、私の望みはむなしく、女の子たちのアピールはまだ続いている。

和泉君の様子も見てみると、女の子たちの存在を一切無視しているようだ。腕を組み、俯いたままの姿。

和泉君、きっとイラついている…。

無視しながらも、眉間に深くシワを寄せ、最強に不機嫌な表情になっている。


これはまずい…。和泉君を助け出さなきゃ…。

これじゃ、一日中不機嫌になりかねない。ネガティブになったり、女の子たちにビビッてる場合じゃないよ…!!

「和泉君!」

勇気を出し、女の子に囲まれている和泉君を呼んだ。

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