*エトセトラ*
私の声に、ピクリと和泉君が反応し、顔を上げた。

「モカ」

私と目が合った和泉君は、やっと表情を柔らかくした。囲んでいる女の子たちには一切目も向けず、こちらに歩いてくる。

「遅ぇよ」

歩いてくるその姿を見て、自分の情けなさを改めて自覚した。


また不安になってしまうところだった…。

和泉君は私しか見ないって分かっているのに。

早く勇気を出して、和泉君をあの女の子たちから離せばよかった。


後ろにいる女の子達にチラッと視線を向けると、恨めしそうな、悔しそうな目でこちらを見ている。

こ、恐い…。

けど、和泉君は私のだもん!!


今度は怯まず、彼女達にキッと鋭い視線を返し、和泉君の腕をギュッと掴んだ。

「モカ?」

そんな私の行動に和泉君は不思議そうに見てくる。

しかし、その視線の先を確認すると和泉君も分かったようで、嬉しそうに笑いながら、私の手をギュッと握ってくれた。

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