*エトセトラ*
「モカ、早く」

「そうよ、せっかく海に来てるのに、そんなもの早く脱ぎなさい」

「……はぁい」

結局、和泉君と麻美に説得され、渋々Tシャツを脱ぐはめになった。きっと、恥ずかしいのは最初だけで、そのうち慣れるはず…。

そう自分に言い聞かせて。


水着はビキニとまではいかないけど、セパレートタイプのもの。もじもじとお腹のあたりを隠しながらTシャツを脱ぐと、和泉君は満足そうに私の手を引いた。


「よし、行くぞモカ」

「う、うん」

私の浮き輪を持ち、しっかりと手を握りながら砂浜をずんずんと歩く和泉君に付いて行った。



*******



浮き輪につかまり、モカは楽しそうにプカプカと海に浮かんでいる。


あんなに水着になるのをイヤがるとは…。あのまま脱がなかったら、きっと俺はまた機嫌を悪くしていたかもしれない。

海なのに、水着にならないなんてあり得ないだろ。


何をそんなに気にするんだろうか。白く透き通った肌に、柔らかな身体。こんなにも魅惑的で、愛しいものはない。いつも、触れたくてたまらない。

いとも簡単に俺を惑わすというのに、モカは自分に魅力がないと勘違いしている。


今だって目の前のモカを抱き締めたいけど、浮き輪がジャマしてできない。


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