*エトセトラ*
相変わらず、モカは浮き輪につかまったまま。

この浮き輪、ジャマだ…。

もう取っ払ってしまおうかと思っていると、モカが海を見渡しながら楽しそうに呟いている。


「気持ちいーね!」

「そ?」

俺が浮き輪を取っ払おうなんて考えてると知ったら、モカは怒るだろうか。

「モカ、泳げねえの?」

「うん」

……絶対怒るな。


けど、モカには触れたい。


取っ払うタイミングを見計らっていると、近くを泳いでいた子どもがバシャバシャと水を跳ねながら、モカにドンっとぶつかってきた。

「キャッ!」

「大丈夫か?もう少し、こっち」

空いている方へ、浮き輪ごとモカを引き寄せた。

休みの日もあってすごく混雑しているので、泳ぐ人にぶつかってしまいそうになる。


「やっぱり、すごく人が多いね。はぐれちゃいそう」

「大丈夫、離さないから」

こんなところでモカを見失ったら最悪だ。


一緒に連れて歩いている時から感じてたが、結構男の視線を感じている。モカは全く気付いてないが、振り返って見てくる男だっている。

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