*エトセトラ*
岩肌を背にしたところで、和泉君は抱えている手をスッと離した。

「キャアッ!!」

突然支えがなくなり、そのままジャボンっと海中に沈む。


「ぅわっ!!モカ!?」

沈んだことに和泉君も驚いたようで、慌てて引き上げてくれた。

「モカ!足つかねぇの!?」

「ここ、つかない!!和泉君何するのよ!!」

さっきと違い、ここの水面は和泉君の肩くらいまであるというのに、私の足が届くはずない!!

抗議の声を上げながら、和泉君の首に腕を回しギュウッと抱きついた。

ここで離したら絶対溺れてしまう!!
恥ずかしがる余裕もなく、必死にしがみついた。


「わりぃわりぃ」

しかし、そんな私とは反対に和泉君は楽しそう。

「ひどいよ和泉君!!早く浮き輪貸して!!」

「大丈夫。しっかり俺に掴まってろ」


浮き輪にぐっと腕を伸ばすけど届かない。無情にも、和泉君のうしろでプカプカ漂っている。

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