*エトセトラ*
「モカ、大丈夫だから」

力いっぱいしがみつく私に、和泉君が何度も優しく声をかけてくる。

その声を聞いているうち、少しだけ落ち着きを取り戻した私は、和泉君の首にまわしていた腕をゆるゆると外し、肩に手を置いた。

少し身体を離し、和泉君の顔を見る。


「大丈夫だろ?」

「う、うん…」

よく考えれば、和泉君は地面に足がつく。流されるはずもない。

取り乱してしまった自分が恥ずかしいよ…。


カーッと顔を赤くさせていると、和泉君は優しく微笑みながら「モカ」と甘い声で私を呼んだ。


「キス、してもいい?」

「……へっ!?」

突然の言葉に素っ頓狂な声を上げてしまったけど、和泉君は私の身体に腕をまわし、ギュッと抱き締めてきた。


「やっ…!!ちょっと、和泉君!?」

「我慢してる方の身になってみろ」

「そんな…!!」

抵抗しようとするけど、和泉君の理不尽な言葉にさらにボッと顔が赤くなる。

何でこんなところまで連れてこられたのかと思ったら、もしや、最初からそれが目的だったの!?
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