*エトセトラ*
「なぁモカ?」

「何?」

「今日、一緒に帰ろう?」

「うん…」

恥ずかしそうに頷くモカに微笑みかけ、繋いだ手を引いて、今度は起きているモカの頬にチュッ…と唇を落とした。


「キャッ!ちょ、ちょっと…!!和泉君っ!!そっ、外、外!!」

予想通り慌てふためくモカに、「だから?」と笑った。

さっき、何度もしたし。


「外じゃなかったら、いっぱいしてもいいってこと?」

「そっ!!そうじゃなくてっ…!!」

真っ赤な顔で恥ずかしがるモカに、もう一度キスをした。


「ちょっと和泉君っ!!」

俺の行動に怒り始めたモカに笑い、ゆっくり手を引いて立ち上がった。


「そろそろ講義が始まる。行くか」

「もうっ!!」

全く反省を見せない俺にモカも呆れているだろう。


でも、モカとこうして過ごすことが嬉しくてたまらない。あの時、ずっと望んでいた女の子が、こうして自分の隣にいる。

抑えられなくて、当然。


結局、モカが寝ていようが、起きていようがすることは同じだな…。


そう自己完結しながら、モカの手を引いて歩みを進めると、小さな手がキュッと握り返してきた。



穏やかで幸せな昼下がり―――あの頃、思い描いていた姿が現実となった今、隣に並ぶモカを見下ろし目を細めた。







end.


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