*エトセトラ*
………チュッ。


ありったけの勇気を振り絞ったけど、私にはこれが精一杯。

唇に少し触れただけのキスをして慌てて離れると、和泉君の目が開き、瞬きながら真顔で見つめられた。


「……それだけ?」

「も、ムリッ…!!やっぱり恥ずかしくて…っ」

真っ赤に染まる顔を伏せながら、あわあわとパニックになっていると、和泉君の手が後頭部にまわり、そのままグイッと引き寄せられた。




「―――――もっと」


驚く間もなく和泉君に唇を塞がれ、再び体が固まってしまう。


「……んっ!」

そのまま背中に腕が回され、ギュッと抱き締められた。

どくどく、と心臓がざわめく。


は、話しが違うっ…!!さっきの選択はなんだったのっ…!?

そう思うけど、この状況で和泉君に抗議できるはずもなく。

そして、次第に和泉君の甘いキスに翻弄され、その思いも霞んでいく。


「いず…み、くん…」

微かに声を出せば、その隙に和泉君に舌を差し込められ、逃げようとする私の舌を、絡めとるようになぞられた。


「ふぁっ…」

ぞくぞく、と痺れるような感覚が背中に走り、椅子から落ちそうになるけど、覆い被さってくる和泉君の制服をギュッと握って、なんとか耐えた。


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