東条家との、出会い。~社長室・特別編~
眼が合うと微笑んで、ゆっくり会釈を交わすのが恒例となっていて。
可愛らしい容姿に、既に優雅さを纏い始めた蘭ちゃんに嬉しくなる…。
「いいえ、とんでもありません!
誘って貰えて凄く嬉しかったです、ありがとうございます」
昔から知っているからこそ、蘭ちゃんは絶対にお世辞は言わない。
まだまだ仲良くなれるには、少しばかり時間が必要なのだけれど・・・
「キャー、それなら今日も泊まってくれる…!?」
「え、今日も良いんですか…?」
この可愛い顔でニッコリ笑われると、もうギューッとしたくて堪らない。
「もう、当たり前でしょう…!
何ならこのまま一緒に…」
あーん、土と草露まみれの汚れた手が恨めしいわ・・・
「一緒には住みませんよ」
「あら、ツマンナイ息子!」
素敵なお誘いをしようとしたトキ、呆れた声色が彼女の背後で響いた。