君の背中に
「どうした、綾音ぇ?
 その人の事でも考えてんの?」

「えっ?違う違う!
 そんなんじゃないけどっ」

「綾音、動揺しすぎだって。
 好きなんでしょ?」

「分かんない…」

「素直になっといた方がいいよ、
 自分のためにも」

なつみにしては珍しく
真面目な台詞だった。


「で、写真とかないの?」

「ないって全然!
 昔の写真ぐらいしか」

「持ってんじゃん!
 意外とやるなあ」

「でももう4年ぐらい前だよ」

「小学生か…」

「…その時もう高校生だったんだよね」

しかも今の私より年上だ。
そんなところでまた、
5年の差をリアルに感じた。

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