君の背中に
結構な時間迷っていたと思う。

弟が家を出たのは2時なのに
もう時計は2時40分を指していた。

今行っても不自然だ。


やっぱり行くのは
やめておこうと思った時だった。


ふと玄関を見ると
弟が水筒を置いて行っていた。

今は9月。
運動したらもちろん暑いはず。
水筒は必須のはずだ。


優柔不断な私に訪れた
奇跡的なチャンスだった。

ペットボトルを途中で買って
済ませているかもしれないけど
行く口実ができればそれでよかった。


私は水筒を持って外に出た。


これで会えると思うと、
それだけでとても嬉しかった。

< 35 / 86 >

この作品をシェア

pagetop