君の背中に
今日の作業をすべて終えた帰り。

久しぶりに里央と一緒に帰った。


「ねぇ、綾音、
 隠してることってある?」

突然だった。

「え?」

「なんか言いづらそう。
 言いたいこと、あるんじゃない?」

顔に出てたのかな。
心当たりがあるのは…伶くんのこと。


「別にっ…」

「そう?」

ならいいけど、と里央は付け足す。
いつになく冷たかった。


「じゃあね、また明日」



私、何かしたっけ。

伶くんのこと…?
でも、里央には言いたくない。

「利用されたんだ」って思われたくない。
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