君の背中に
「里央、お疲れ!」

ライブが終わった里央を
私は笑顔で出迎えた。

「ありがと!
 …綾音、泣いたっしょ?」

「え?」

なんで分かるんだろう。

「まさかウチの歌声にやられたとか?」

「そうそう」

「嘘つけ」

「嘘じゃないって、里央の…」

「里央の兄のせいでしょ」

バレバレだったのかな、里央には。

「あいつ馬鹿だから」

でも彼女がいる事実は事実。
私を見てくれないことは
何があっても変わらないのに。
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