君の背中に
「綾音、何黙ってんの」

「…え?」

「もうすぐ縁日の方手伝わなきゃだけど
 兄貴呼ぼっか?」

「でも」

「でもじゃなくて」

「さっき女の人と一緒に」

「だから、呼ぶか呼ばないか、
 会いたいか会いたくないか!」

「会いたいけど…話したいけど」

自信がないよ。


「じゃあ呼ぶね」


1人で来てくれたら…
私を見てくれたら…

そんなことを思った自分が少し嫌だった。
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