君の背中に
「ごめん、私好きな人いるんだ」

「付き合ってるのか?」

「付き合ってはないよ」

「片思い?」

「そう、片思い」

「俺がいる」


片思いなんて惨めなだけかもしれない。
ましてや年上。
相手にも好きな人がいて。

少し心が揺らいだ。


「俺じゃ駄目か?」

「大好きだったよ、巧生のことは」

「お前の好きな人って」

「大学生」

「上手くいきそうにないなら」

「巧生の方がいい、ってこと?」


確かにそうなのかも知れない。
私の過ごしてる時間は
無駄な時間なのかもしれない。

私を思ってくれている人が
ここにいるのなら。
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